SCORE CARDBACK NUMBER

プエルトリコ非開催で寂しいウインターリーグ。 

text by

津川晋一

津川晋一Shinichi Tsugawa

PROFILE

photograph byYukihito Taguchi

posted2007/11/15 00:00

プエルトリコ非開催で寂しいウインターリーグ。<Number Web> photograph by Yukihito Taguchi

 “冬の風物詩”ウインターリーグがカリブ諸国で開幕。メジャー復帰を期す野茂英雄はベネズエラで参戦し、日本で報じられる機会も増えている。だが今年、ドミニカ共和国やベネズエラと並ぶカリブ3強のプエルトリコが、財政的理由でリーグの非開催を決断。発足 70周年という記念すべき年に、由々しき事態となっている。

 「今日はプエルトリコのスポーツが喪に服する日だ」。同国選手会のマイク・ペレス会長が、そう声明を発表したのは約3カ月前。観客減少を理由に、全6球団のオーナーが全会一致で中止を発表。その後、期間短縮やスポンサー探しなど、打開策を模索するも実りはなし。今年も予定されていたモリーナ三兄弟の次男ホセ(ヤンキース)と三男ヤディエル(カージナルス)の参加は幻となってしまった。

 近年、確かにスタンドでは空席が目立っていた。大型契約を交わしたメジャーリーガーは、代理人と球団との取り決めで、本人の意思とは無関係に出場できないケースも増えている。施設面で劣る同リーグに参加して怪我をされたら困るからだ。目玉選手は必然的に少なくなり、ソフトとしての魅力も半減。自ずとファンの足も遠のく悪循環に陥ってしまった。

 各国の優勝チームが集うカリビアンシリーズは50周年記念大会を迎える。ニカラグアやコロンビアが参加を検討し、覇権争いに拍車がかかるはずの年に、プエルトリコの姿がないのは実に悲しい。また同国のウインターリーグは、ハンク・アーロンやウイリー・メイズら殿堂入り選手がプレーした、育成の場でもあった。支援要請にもかかわらずMLBは再建に手を貸さない方針だが、メジャー繁栄のためにはカリブ諸国の野球界の発展は必要不可欠なだけに、この消極的な姿勢は残念で仕方ない。

 プエルトリコ野球殿堂の選手で、モリーナ三兄弟の父、ベンジャミン氏がこう言っていた。「普段はテレビの向こう側の憧れの選手が、冬になるとこの国でプレーしてくれる。ウチの子もそうだったが、これ以上のモチベーションはない」。ポサダ(ヤンキース)、ロドリゲス(タイガース)らスター選手を輩出し、 “捕手王国”とも呼ばれるプエルトリコ。その裾野を絶やさないためにも、早期の再開を望んでやまない。

ページトップ