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戦火の広がるイスラエル。リーグ再開への祈り。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2009/01/29 00:00

 「あのローター・マテウスがイスラエルにいる」と聞けば、どんなサッカーファンでも、今ガザ地区で起こっている紛争を身近に感じることができるはずだ。

 '90年W杯王者のマテウスが、マッカビ・ネタニヤの監督に就任したのは昨年7月のことだった。ドイツの英雄の下、チームはすぐに団結し、ネタニヤは冬季中断時点で2位につけていた。

 だが昨年末、イスラエル軍がガザ地区に攻撃を開始したことで、マテウスは予想もしなかった事態に直面する。イスラエル軍の攻撃は単発的なものでは終わらず、地上戦までもが開始され、すぐさまイスラエルサッカー協会のアビ・ルゾン会長は、1月10日に予定されていた国内リーグの再開を延期することを決定した。

 マテウスは言う。

 「もはやイスラエルは、サッカーどころではなくなった。リーグ再開の延期も仕方ないこと。イスラエルにおいて、サッカー選手に特権はなく、うちの選手もいつ戦場に駆り出されてもおかしくない」

 現在、ネタニヤの選手7人が、週に2回、軍事教練を受けている。もし予備兵が召集されれば、彼らはスパイクをアーミーブーツに履き替えなければいけない。

 より深刻なのは、ガザ地区近郊に位置するクラブだ。ガザから18kmしか離れていない3部のハポエル・アシュケロンでは、練習場のペナルティエリアにロケットが着弾した。練習開始直前のことだったという。すぐにクラブは街を離れ、今はテルアビブ近郊の国立スタジアムの施設で練習を続けている。

 35kmの距離にあるアシュドッドは、自分たちの街に留まることを決断した。クラブは外国人選手にテルアビブへ引っ越すように促したが、全員が残ることを申し出たという。

 一方、イスラエルにはアラブ系の人たちが所有するクラブもある。北部のハポエル・ベナイ・サクニンだ。このクラブは1部に所属していて、もしこのまま紛争が長引くようだと、他クラブとの試合で不測の事態が起こるのではないかと危惧されている。

 ここで政治の議論をするつもりはないが、一刻も早く紛争が終わり、イスラエルリーグが安全に運営されることを祈りたい。

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