SCORE CARDBACK NUMBER

フランス代表が勝てない2つ目の理由。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

PROFILE

posted2008/11/06 05:36

 フランス代表の様子がおかしい。9月にスタートしたW杯予選で大苦戦しているのだ。初戦でオーストリアに1―3で敗れ、続くセルビア戦には勝ったが、10月11日のルーマニア戦を2―2で引き分けてしまった。現在フランスは欧州地区7組の3位に甘んじている。

 フランスは今年のユーロでも、グループリーグで姿を消した。なぜ彼らはスランプに陥ってしまったのだろうか?

 原因のひとつがドメネク監督であることは明白だ。ユーロではベテランを重用したが、ビエラがケガで1試合も出場できず、裏目に出た。人間性にも疑問の声が上がっている。ユーロのイタリア戦後には、敗退が決まったにもかかわらずTVの取材中に女性キャスターにプロポーズ。9月にはGKクペが「ドメネクは人を弄び、平気で約束を破る」と批判した。フランスサッカー協会は続投を決定したが、もう限界だろう。

 しかし、責任を監督だけに押し付けてしまうと本質が見えなくなる。実はもっと根深い問題が潜んでいるのである。

 グルノーブルの祖母井秀隆GMは、今季チームが1部に昇格したことで、フランスの一流クラブを見る機会が増えた。すると、ある問題点に気がついたという。

 「フランスの選手は足は速いんですが、リズムを変えられる選手が少ない。単調にパスを回すだけで、試合の流れに緩急をつけられないんです」

 '88年、フランスは国立アカデミー「クレールフォンテーヌ」を創立して、独自の育成システムを作り上げた。協会がユース年代を一括管理し、徹底したエリート教育を行なった。そこから羽ばたいたアンリらがフランスに'98年W杯優勝をもたらし、今や彼らの育成システムは世界中の模範になっている。

 しかし現在、そこから生み出されてくるのは足が速い“アスリート系”ばかり。ジダンのような感性を持った選手が激減してしまったのである。

 いくら優れた育成システムでも、時間が経てば金属疲労を起こす。過去の成功にしがみつき、柔軟な発想ができなくなるからだ。クレールフォンテーヌ創立から20年、新たな道を模索すべきときがきている。彼らがいかにして問題を解決するか、フランスの育成を参考にしている日本も、注意深く観察すべきだろう。

関連キーワード
祖母井秀隆

ページトップ