競馬界の年度は3月に新しく切り替わる。新人騎手がドキドキのデビューを果たし、新規調教師が待望の開業。縁の下から支えるJRAの職員も、一斉の人事異動でバタバタ動き回る。フレッシュな空気が入って来るのはもちろんいいことなのだが、華麗かつ重厚な歴史を刻んできた調教師たちが、定年で引退を余儀なくされる制度だけはしっくり来ないものを感じる。その人の周辺だけ、時間が異常に早く過ぎ去って行くような気がして、最後の1週間は特に寂しさがつきまとう。文字通りの職人芸であり、体力より積み重ねてきた経験がモノを言う職種の代表と言えるだけに、定年制度に最もなじまないというのは誰もが感じているのではないか。
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photograph by Hiromi Kawamoto