柔道の世界選手権で日本勢は思わぬ苦戦を強いられたが、実は場外での戦いでも完敗していた。大会が始まる前に開かれた国際柔道連盟(IJF)の役員改選で、教育・コーチング理事の再選を目指した山下泰裕氏が落選。IJFの執行部から日本人が一人もいなくなってしまったのだ。その後の折衝で全日本柔道連盟の上村春樹専務理事が会長指名の理事ポストに就くことになったが、重要な案件を決める際の議決権はなく、日本の影響力低下は避けられない情勢だ。
今回の“政変”は、マリアス・ビゼール新会長(オーストリア)による“報復”が主な要因となった。欧州連盟会長も務めるビゼール氏は'05年の会長選に立候補したが、日本が朴容晟前会長(韓国)を支持したために落選。以後は朴体制に反旗を翻し、前会長を辞任に追い込んだ。同時に前会長を支持した日本も敵対視し、今回の役員改選では欧州勢がそろって山下氏の対立候補に投票した。
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