スーパースターの一挙手一投足は、様々な方面に影響を及ぼす。
大谷翔平のドジャース移籍が発表された2023年12月10日、ロサンゼルスから遠く離れた秋田県のとある場所がにわかにざわついていた。県内でスーパーマーケットや飲食店を中心に、卸売・小売業を営む「株式会社ドジャース商事」。読んで字のごとく、完全一致の同名である。同社の前身は「ロヂャース秋田」だったが、1981年に挽野泰次さん(現会長)が社長として事業を引き継いだ際、「ドジャース」と名付けた。同年のロサンゼルス・ドジャースといえば、ニューヨーク・ヤンキースとの東西名門対決を制し、16年ぶり5回目の世界一に輝いている。野球好きの挽野さんは、球団名をそのまま会社名に踏襲した。
背番号17にちなんだセールに、「二刀流弁当」も。
「大谷選手のドジャース移籍が決まって、うちは同じ名前だし、何かやるか? と。それで特別セール開催が決まりました」
そう話してくれたのは、同社事務センターに勤める高桑文仁さんだ。
入団会見に合わせて3日間限定で特別セールを開催した。生活用品や衣料品を販売する本館では、背番号17にちなみ、17円や170円、1700円、1万7000円の商品を販売。食品館では「二刀流弁当」なるものまで登場した。高桑さんは「期間限定セールを実施しただけなので、そんなに派手なことにはなっていませんよ」と謙遜するが、期間中は来客数が通常の20%アップ。テレビ各局をはじめメディアも取材に駆けつけた。検索エンジンに“ドジャース”と入力すれば、MLB公式サイトの次にグループ名の「ディスカウントショップ ドジャース」が表示された。広告費を投じずに自社を宣伝できたことも含め「効果覿面」と言って間違いない。
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