センバツ初勝利、そしてベスト4進出。國學院久我山は今春、その強さを夢の舞台で証明した。指導者イチローの言葉は彼らに何をもたらしたのか。戦いを終えたチームを訪ねた。
今年のセンバツ甲子園で、國學院久我山は準決勝まで進出した。'79年、'85年、'11年と過去3度の出場歴があるが、いずれも初戦敗退。'13年に就任した尾崎直輝監督のもと、大きな飛躍を果たす春となった。
昨年11月末、同校にはイチローの姿があった。2日間限りの指導だったが、甲子園での躍動はその賜物と言えるのか。大阪桐蔭に敗れて決勝進出を逃した数日後、久我山のグラウンドを訪れた。
尾崎監督は苦笑する。
「甲子園では、報道陣の方たちからそのことばかり質問されました」
ただ、うんざりした表情ではない。間違いなく因果関係があると感じられるからだ。
東京都杉並区にある國學院久我山へとイチローがやってきたのは11月29日のこと。尾崎監督はその傍らに付き添いながら、一挙手一投足を見逃すまいと観察し、選手ともども質問をぶつけた。
シューズを履く際に靴べらを使う姿から用具を大切に扱う姿勢を学び、「(足の)薬指から地面に着くようにしている」という走り方のこだわりを教わって感嘆した。トレーニングの話題になったときには、促されて筋肉に触れた。「できたての大福みたいにぷにぷに。なのに見た目は締まってるんです」と、表情豊かに振り返る。
メジャーで10年連続200安打を成し遂げた打者を迎えるにあたり、ぜひ聞いておきたいことがあった。
「期待やプレッシャーがあるなかで、どうやって結果を出し続けられたんですか」
そう尋ねたのは、翌春のセンバツ出場を確実にしていたから。尾崎監督は言う。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Hideki Sugiyama