母国開催の五輪、新競技で初代金メダリストになり、スターダムに駆け上がった。だが、22歳は変わらない。総理と面会し、日米両国でスター扱いをされても、今日もLAの街で彼はスケートボードに乗っている。
ロサンゼルスのダウンタウンから車で国道101号線に乗って30、40分もすると、地元の人たちが「The Valley」と呼ぶ乾いた風景の広がるエリアに辿り着く。
大きなパインツリーが立ち並ぶ道路には『馬横断注意』の標識が立っていて、実際にそこらの家に馬がいるのを目にする。ビバリーヒルズのきらびやかさも、ベニスビーチの賑やかさもない。日本人が多く住むエリアからも遠い。落ち着いた雰囲気と瀟洒な家々が立ち並ぶ郊外の街。ここに堀米雄斗の自宅がある。
堀米が尊敬する世界的スケーターのシェーン・オニールやポール・ロドリゲスも近所にいて、彼らのプライベートパークや堀米が契約するデッキブランドのスケートパークも近くに点在している。朝に滑って昼に一度家に戻り、また午後に滑りに出る。そんなふうにして普段の1日は過ぎていく。
「家から5分ぐらいのところにみんなのパークがあるのですごく便利なんです。ダウンタウンまでは40分ぐらいかかっちゃいますけど住むには一番いい場所ですね。スケーターとして現役で頑張れるうちはこのへんに住み続けると思います」
ルームシェア生活から卒業して昨年10月に購入した自宅は、裏庭に練習場を備えた4LDKの立派な家である。東京五輪を終えて、ここでの生活に1つの変化があった。2歳年下のアメリカ人スケーターをルームメイトとして迎え入れたのだ。以前からオリンピックを終えたら友達と一緒に住みたいと話していただけに、さぞや仲がいいのかと思いきや案外そうでもないらしい。
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photograph by Yoshiyuki Matsumura