ラグビーが見たくても、見られない。早明戦もトップリーグも、チケットは即座に完売。日本にそんな時代が来るなんて――。
それが実現したのは、W杯でのジャパンの活躍を抜きに語れない。やはり、現代の日本では「代表」が国際競争力を持たない限り、国内における競技の発展はないのだ。
11月18日、日本ラグビー協会はジェイミー・ジョセフと新たに4年契約を交わした。2016年の就任から、ジェイミーはどんなプランで日本をベスト8へと導いたのか。
母国に帰国する前の指揮官を直撃した。
――いま、驚いています。すっかり柔和な顔つきになっていて……。恵比須顔ですよ。W杯期間中の勝負師としての表情がどこにも見受けられません。
ジェイミー・ジョセフ(JJ) これからニュージーランドに帰り、もう少しで家族に再会できると思うと、自然と頬が緩んでくるんですよ。
――日本国内ではたいへんなラグビーブームが起きています。4年前とはまったく違う次元での人気です。
JJ フッカーの北出卓也が考案した「北出丼」が人気と聞きました。レシピを聞いたら、たしかにそれは食べてみたい。
――さて、ジャパンの話に移っていきましょう。昨年11月18日にイングランドと対戦した際、地力はたしかに上がっていることが分かりました。ただし、翌週のロシア戦は苦戦したり、チームとして不安定な印象は拭えませんでした。しかし、W杯イヤーになって代表は変身していましたね。
JJ チームとしてパフォーマンスの安定性が欠けていたのです。いい試合をしては、翌週に崩れることを繰り返していました。言うまでもなく、W杯は毎週試合があります。それに耐えうる強固な土台を作らねばならなかった。我々コーチ陣はW杯に向け、「ファウンデーション1・2・3」と3つの強化期間を設定しました。ファウンデーション1は、3月から5月のウルフパックの活動期間。代表候補選手はスーパーラグビー(SR)に参加させず、合宿で土台を作っていくことを優先させました。SRはケガのリスクもさることながら、毎週試合に出ていると「頭」が消耗していくのです。
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