満を持して主役がターフへと戻ってくる。臨むは強豪馬が集う、秋の天皇賞。「負けて強し」の安田記念から4カ月、未だ底を見せない日本最強馬を訪ねた。(Number988号掲載)
昨年の牝馬三冠とジャパンC、そして今年のドバイターフを圧勝し、その強さで世界中を震撼させたアーモンドアイが、10月27日の天皇賞・秋で復帰する。ドバイからの帰国初戦となった安田記念で3着に敗れたあと、福島のノーザンファーム天栄に放牧に出され、9月26日、美浦トレーニングセンターの国枝栄厩舎に帰厩した。
「牧場でも何回か見ていましたが、シャープな感じになって戻ってきましたね。成熟して、風格も出てきた」と国枝調教師。スタート直後に他馬に寄られ、騎乗したクリストフ・ルメールが「5馬身ぐらいロスがあった」と話したほど大きな不利を受けた安田記念については、しかし、「これまでで一番強いと思うレースを見せてくれました」と振り返る。
「道中も他馬に蓋をされる格好になって、位置取りが悪くなった。直線で前が空かなかったのも、あの位置にいたからです。あれも競馬といえば競馬だけど、危惧していたことがそのまま出た感じだった。対照的に、勝った馬と2着の馬は、スムーズな競馬をしていましたね。アーモンドアイは体重も増えていたし、状態もよかった。終いの伸びを見ると、やっぱり、すごい馬ですよね。まあ、鼻差でも頭差でも勝っていればよかったんだけど、結果的には『負けた』という事実しか残らない。そういう意味では残念でした」
激戦の後も、メンタルには余裕がある。
ラスト400m地点では先頭から7馬身ほども離れていながら、上がり3ハロン最速の32秒4の末脚で、首+鼻差の3着に追い込んだ。まさに「負けて強し」であった。
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photograph by Keiji Ishikawa