不思議な試合だった。タイトル戦なのに危険なプレー、審判を欺こうとする演技が全くない。ホームチームの観客がアウェイチームの得点に大きな声援を送る。サッカーとは本来、こうあるべきスポーツなのかもしれない――。
4月4日、ブラジル南西部の小都市シャペコでレコパ・スダメリカーナの第1レグが行なわれた。昨年度のコパ・スダメリカーナ(欧州のELに相当)の覇者シャペコエンセ(以下、シャペ)とコパ・リベルタドーレス(欧州のCLに相当)の王者アトレティコ・ナシオナル(コロンビア・メデジン市)の対戦だが、本来この2チームは昨年11月末、コパ・スダメリカーナの決勝を戦うはずだった。しかしシャペの選手やチーム関係者を乗せた飛行機が墜落。乗客77名の内、主力選手19人を含む71人が犠牲となり、試合は中止。アトレティコ側の強い要望もありシャペが大会王者に認定されたという経緯は世界中のサッカーファンの知るところだ。痛ましい悲劇が育んだ両チームの絆、友情が、この試合を特別なものとしていたのだ。
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