抑えは牧田か、秋吉か、それとも則本か……。幾度も話題に上った、終盤への不安。守護神が不在の中、投手をやりくりする“権藤イズム”は現場に混乱を招いていた。当事者は何を思い、いかにその起用法に順応し、マウンドに向かっていたのか。
「そんなの、決められるわけないだろ」
「それじゃ、ピッチャーが戸惑います」
「またお前は……細かいことを言うな」
決してケンカをしているわけではない。しかし、ピッチングコーチの権藤博とブルペンコーチの村田善則の間では、こんな激しい議論が日常化していた。ブルペンにいた何人かのピッチャーは、またやってるよ、善さん、頑張れと、心の中で呟いていた。どのピッチャーも、それぞれの役割について、何も決めない、何も言われないという“権藤イズム”に戸惑い、ふざけんな、いつなんだよ、という不満を溜めていたからだった。村田コーチはこう言っていた。
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photograph by Hideki Sugiyama