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華麗な“三島節”が描く、ボクシングの姿とは。~三島由紀夫の、記者としての意外な一面も垣間見える~

2017/02/07

 本著は「小説」「エッセイ」「戯曲」など五部からなる作品集だ。今回は「第三部 スポーツ」の章を紹介したい。作者によるスポーツの観戦記やエッセイは、膨大な文業の中でほんのわずかな紙数を占めるに過ぎない。けれども、その少ない文章のどれもが、印象に残る。収められたすべての文章が新聞に発表されたもので、長さが制約された。華麗な“三島節”には窮屈なはずなのに、作者はその難しさを軽々と乗り越えて見せる。ここでは作者自身が取り組み、体力の限界を悟って1年で挫折したボクシングの観戦記を取り上げる。


 エデル・ジョフレから世界バンタム級の王座を奪ったファイティング原田が再びジョフレと戦った。「次々と予測と希望を裏切り、又別の予測と希望に火をつける、面白い、起伏に富んだドラマ」と、試合を要約する。入場するジョフレへの声援が原田より大きかったことに、日本人の「判官びいき」のよさと「栄光への嫉妬」の悪い面を感じたと指摘する。

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photograph by Sports Graphic Number

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