エイバルが史上初の移籍金を用意して迎えたのは日本屈指のテクニシャンだった。幼い頃から夢見たリーガ・エスパニョーラの舞台に辿りついた男が、人口2万7000人の町で、新たな一歩を踏み出した。
バスクの山間に、かぎりなく村落に近い、小さな町がある。
ビルバオから東へ、風ふく谷をぬけ、ロバ歩む山道を越えたところにひっそりと佇むその町の名はエイバルという。
この夏、ふたつのニュースが2万7000人の住民を騒がせた。
ひとつは、今季は2部を戦うはずだったエイバルが、経営難のエルチェが2部降格処分を受けたことで繰り上がり、再び1部でプレーできるようになったこと。
そしてもうひとつが、日本人選手の獲得だった。
“巨額の移籍金30万ユーロでイヌイ獲得”
乾貴士のエイバル移籍を、バスクの地元紙は1面で報じた。エイバルが移籍金を支払うのはクラブ史上初のことだ。
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photograph by Daisuke Nakashima