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<独占インタビュー> 井端弘和 「いざ、巨人軍へ」

2013/12/20
真骨頂たる右打ちで日本中を熱狂させたWBCでの大活躍から一転、
不調のシーズンの果てに、16年間を過ごした愛着あるチームと決別。
新天地での再起を期す男が、秘めた決意を静かに語りはじめた――。

 屈辱だったことは想像に難くない。

 中日一筋に16年。荒木雅博との“アライバ”コンビとして、強い中日の象徴的な存在だった井端弘和は、このオフに就任した落合博満GMによって、実質的に切られた。

 年俸2億5000万円から88%減の3000万円への減俸提示。かつては師弟関係とも言われていた元監督の示した条件は、井端に「やめろ」と言っているのも同じだった。

 提示を受けたときは、相当ショックだったのでは?

 インタビューで改めてこのときの気持ちを問うと、井端は静かに首を振った。

「いや、そんなでもないですよ」

 時が経ったせいもあるのかもしれないが、かつてのボスの仕打ちを、今は淡々と受けとめている。

落合さんには常々、契約社会だと言われていたので。

「契約社会なので、ホントに昔からチームが自分を必要とするか、しないかだと思っていましたから。それに落合さんには監督時代から常々、言われていたことだったので……。だから覚悟はできていましたし、あまりショックでもない。そういう時期が来たなっていうぐらいの感覚でした」

 提示を受けて自分の置かれている立場はすぐに理解できた。だから中日を去る決意をするのに、それほど時間はかからなかったという。

 禍福は糾あざなえる縄の如し――2013年は、井端にとってまさにそんな言葉が当てはまるシーズンだったかもしれない。

井端弘和 Hirokazu Ibata
1975年5月12日、神奈川県生まれ。堀越高、亜細亜大を経て'98年ドラフト5位で中日に入団。'01年にレギュラーに定着して以来、主に遊撃手として活躍。今春のWBCでは持ち味の右打ちで存在感を発揮。不調に終わったシーズン後に巨人と契約を結んだ。173cm、75kg

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では日の丸を背負って大活躍。しかし、帰国後に待っていたのはケガとの戦いと、それにともなう成績不振。そして最後に用意された運命が、プロ入り以来身を捧げてきたチームへの別れと、その最大のライバルである巨人との契約だった。

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photograph by Tatsuki Masaru

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