全日本で、川田利明の1年3カ月、越中詩郎の1年11カ月を大幅に更新する、デビュー2年8カ月にして初勝利という稀な“大記録”が生まれた。筆者の知る限り、60年の歴史の中で、日本のプロレスが始まって以来の珍事件だ。
9月8日、東京・後楽園ホール。GAORA TVチャンピオン初代王者決定トーナメント1回戦で、200kgの巨漢・浜亮太を6分21秒、横入り式エビ固めで破った中之上靖文である。
浜のコーナースプラッシュをかわし、丸め込んで勝った中之上。「今まで後輩に負けていたのが悔しかった。見返してやろう、という思いはずっとありました」というコメントに、入団して4年半の辛抱と我慢の想いが総て込められている。
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photograph by NIKKAN SPORTS