相撲界において不滅と言われた双葉山の69連勝。その数字が連日頭に浮かぶ場所に、遂にたどり着いた白鵬。揺るぎない自信で臨んだ九州場所に見えたが、そこには大きな魔物が潜んでいた。
「これが負けか」。桟敷席まで転がり落ちた白鵬が、笑みとも何ともいえぬ表情を浮かべながら思ったこと。大金星を挙げた稀勢の里を凝視することもなく、敗戦という現実を受け入れられず、焦点が定まらない。気持ちの整理がつかぬままに土俵に戻った白鵬は、一礼するとフーッと息を吐き出した。64連勝ならず。この瞬間、目に見えない怪物(双葉山)の呪縛から解き放たれた。
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photograph by KYODO