「一日も早く統一戦で勝って、暫定の文字を取り除きたい――」。昨年8月、WBAスーパーウェルター級の世界チャンピオンベルトを手にしたとき、石田順裕はこう語ったが、1年が経過した今も「暫定チャンピオン」のままである。
これは安易に暫定王者を認めてしまうWBAが悪いのであって、石田に責任はない。暫定王者ができれば正規王者との「統一戦」を行なうのが筋だが、実現しそうな機運はまだない。
正規王者のミゲル・コットはスーパーチャンピオンのひとりだ。昨年11月、パッキアオに敗れた一戦では、5億円以上の報酬を手にしたと言われている。推定で石田の100倍以上……。巨額が動くPPVが主流の米国の興行システムでは、無名の暫定王者を起用しての統一戦は現実的ではない。それでも前向きな石田は「コットとやって勝ちたい」と言うが、そのためにはまず米国で顔を売る必要があろう。
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