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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「スーパー高校生やっぱり強い」井上尚弥が絶賛した“17歳”藤木勇我とは何者か? 異例の注目度、怪物伝説も「スパーでは日本王者を滅多打ちに…」
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/12/05 11:03
アマチュアボクシング最高峰の全日本選手権・ウェルター級で優勝した藤木勇我(興国高校3年)
「高校生が適正の一つ上の階級で戦い、社会人の強豪に勝ち続けてしまったのだから凄いと思います。特に体力がものをいう中量級。今大会では倒しにくいグローブが使用され、相手も打ち返してくるという状況だからなおさらですね」
今回、ウェルター級で戦った藤木には体格的に明らかなハンデがあり、しかも使用されたのはパッドが厚く、手首も柔らかめの“効かないグローブ”。リングサイドで撮影した福田カメラマンが「大会を通じてはっきりとしたダウンシーンが4、5回くらいしかなかったと思います」と振り返ったトーナメントは、強打が売りの藤木には厳しい戦場だったかもしれない。それでも17歳のボクサーは、そんな環境下で技術、心身のスタミナを証明してみせた。特に準決勝、決勝と、自分よりも大きな相手をジャブでコントロールしたスキルは圧巻だった。
父がプロボクサー、大橋ジムで出稽古
これで高校での全国大会はすべて優勝し、8冠とともに通算49戦全勝(33RSC)。かつて井上尚弥も成し遂げた“高校生での全日本選手権制覇”をレジュメに加えた怪童は、来春のプロ入りを視野に入れている。大きな話題性とともに、日本のプロリングに旋風が起こる日は間近に近づいているのだろう。
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元プロボクサーの父を持つ藤木は大阪で2007年に生まれ、小学校1年の7歳からボクシングの練習をスタートさせた。当初は大星ジムで父親に手解きを受けて成長。高校2年生の4月からは多くの強豪を抱える大橋ジムでの出稽古も続けてきた。
映像で確認すればすぐに分かる通り、信条は自ら仕掛けていくパワフルなボクシング。ミドル級を席巻したゲンナジー・ゴロフキンを彷彿とさせる鋭いジャブと、“モンスター”こと井上尚弥を思わせる強烈な右、左ボディも強い。その澱みのない流れるようなボクシングを見た後なら、藤木自身がフェイバリットファイターとして挙げた名前を聞いても納得できる。
「好きな選手は、世界4階級制覇王者のローマン・ゴンザレスとか、日本で言ったら井上尚弥さん。映像を見るのはゴンザレスが多いかもしれないです。そのボクシングを自分の参考にしつつやってきたのが今の自分のスタイルに変わりつつあるんで、自分のボクシングができているかなと思っています」


