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松井稼頭央、西武でもレギュラーを。
今江に走り勝つ42歳は、今も超人!
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKyodo News
posted2018/01/28 17:00
大リーグから帰国後も楽天で存在感を放った松井。かつて大暴れした西武で再び、チームを鼓舞する。
辻監督の意向も松井の意思も、何ら違和感はない。
守り慣れていない、ブランクが長かろうとも、松井にはサードに挑戦する根拠がすでに成立している。ただ試合に出たいからチームの方針に従うのではなく、そこで一定の成果を上げる自信があるからこそ守るのだ。
だから、辻監督の意向も松井の意思も、何ら違和感はない。むしろ、こう思う。
42歳、まだまだ健在だ、と。
時を遡れば、松井の戦力外は突然と言えば突然だったし、想定できる事態と言われればそうだったのかもしれない。
楽天時代の昨季、8月27日に一軍登録を抹消。レギュラーシーズン終了まで二軍暮らしだった松井の退団を示唆する記事が出たのは、クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ直前だった。
シーズン成績は44試合の出場で打率2割1分1厘、2本塁打、10打点。首脳陣を納得させられるだけの結果を出せず、CSのメンバーからも漏れた。何より、当時41歳という年齢を考えれば、厳しい現実を突きつけられても仕方がなかったのかもしれない。
「レジェンドなのに、僕らと同じ目線で話してくれる」
戦力外を受けても球団の誠意は感じていた。コーチやフロント入りの打診。13年の日本一など在籍7年間の貢献度、日米通算2699安打という輝かしい実績を評価されているのは理解できたが、それでも、松井は現役続行にこだわった。だから、CSファイナルステージが終了してすぐに、楽天に別れを告げることを決断したのである。
そして11月、松井は西武に復帰した。背番号はメジャーリーグに挑戦する前まで付けていた「7」。選手兼テクニカルコーチとして再スタートを切ることとなった。
松井がチームにいることの意味は大きい。
今季から野手最年長となる大ベテランではあるが、誰とでも気さくに話す。後輩の今江は「野球界のレジェンドなのに、僕らと同じ目線で話してくれる。ホンマにすごい方」と感激していたし、楽天の若手、中堅選手の多くも松井のフランクな姿勢に感謝していた。