イチ流に触れてBACK NUMBER
「人と比較せず自分の中で少し頑張る」
イチローが野球少年に送った人生訓。
posted2017/02/02 11:30
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Kyodo News
イチロー自らが大会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球」は、2016年末に21回目の大会を迎えた。
未来の野球界を背負う学童たちに、勝つことの喜び、負けることの悔しさ、また、野球というスポーツが持つ様々な要素を体験してもらい、そこから多くを学んで欲しい――。
大会長にはそんな強い思いがある。
だからこそ、閉会式には自らが毎年足を運び、学童の目線に立ちメッセージを贈る。メジャーの世界でも最高峰の立場に上り詰めた実体験から発せられる言葉の重みと説得力は、まごうことなき金言である。
イチローは人の2倍も3倍も努力したわけではない!?
2016年12月23日。
愛知県西春日井郡豊山町で行われた閉会式には、同大会からプロ野球選手となったDeNAの関根大気外野手(21歳)も駆けつけたが、その際のイチローのスピーチは学童だけでなく、性別に関係なく、野球好きか否かにも関わらず、幅広い世代の人間の胸に訴えかけるメッセージであった。
以下はオフィシャルサイトから引用した言葉となるが、ひとつひとつの言葉に意味があると感じるので、少し長くなるがお付き合いいただきたい。
「みなさん、こんにちは!(声が)小さい……。
こんにちは!!
マイアミ・マーリンズのイチローです。
ここにいる3チームのみんな、本当におめでとう。199チームの中から、3チームに残ったこと、勝ち上がったこと、本当に凄いと思います。僕は(ナ・リーグ東地区)5チームの中で今年も3位でした。
今年の僕がみんなにかけてあげられる言葉を少し探してみました。
今年メジャーリーグで3000というヒットを達成することができました。こういうことがあると、たくさんの人から褒めてもらえます。
そして、イチローは人の2倍も3倍も頑張っていると言う人が結構います。でも、そんなことは全くありません」