サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
最終予選進出も課題山積のU-22。
「オレが決めてやる」選手の不在。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2015/04/01 12:20
多くの代表選手を輩出してきた鹿島アントラーズで、20歳にしてスタメンを張る植田直通。186cmの恵まれた体格に加えスピードも併せ持ち、早くもA代表入りが期待される選手である。
Jでの試合経験を持つ選手が少ないことが影響し……。
攻撃のメリハリもなかった。
ここはテンポを上げていこう。ここは後でゆっくり回しながら相手の隙を窺おう。強いチームは、相手の動きや試合の流れを読んで攻撃のリズムを変化させていく。だが、このチームの攻撃はテンポがなかなか上がらず、ほぼ一本調子だ。ボールを持てるので早く前に繋いで攻めたいと思うからだろうが、そればかりだと相手の守備も慣れてしまう。
実際、マレーシアは日本の単調な攻撃を読み、幾度かインターセプトを成功させてカウンターを仕掛けていた。メリハリがつけられないのは、このチームにゲームメーカー的な存在が不在なのと、おそらく前線の選手がJリーグでの試合経験が少ないことが影響していると思われる。それゆえ、試合や相手の出方を読みながら駆け引きすることがなかなか出来ないのだ。
このままで、最終予選で勝つのは相当難しいミッション。
また、このチームには「オレが決めてやる」という選手がなかなか見えてこない。内心はそう思っている選手がいるのかもしれないが、伝わらない。みな、おとなしいのだ。
強いチームには、必ずそういう選手がいる。アトランタ五輪の時は城彰二と前園真聖が、シドニー五輪の時は高原直泰が圧巻の活躍を見せた。アテネ五輪では大久保嘉人、北京五輪は岡崎慎司、本田、香川真司らがいた。このチームでは唯一、マレーシア戦の後半14分から出場した中島が、流れを変えてやろうと精力的に動いていた。ポテンシャルのある選手は多いので、中島のようにプレーで見せることができるはずだが、マレーシア戦では攻撃陣から伝わってくるものがなかった。ハッキリいってしまうと、何がなんでもゴールを奪うという覇気が感じられなかったのだ。
このままでは、最終予選で強豪国から点を取って勝つのは相当難しいミッションになる。来年1月の最終予選まで9カ月、いったい何を変えればよいのだろうか。