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レッドソックス先発陣が謎のTシャツ?
“I'm the ACE.”と“He's the ACE.”。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph bySports Graphic Number
posted2015/03/24 10:35
レッドソックスの番記者、ロブ・ブラッドフォード氏のTwitterに投稿されたTシャツを着るウェイド・マイリーの写真。なんともチャーミングな表情をしている。
誰がエースか分からないので、直接聞いてみた。
誰がエースなんだか、さっぱり分からない。それぞれが自己主張ばかりしているようにも見えたので、気さくなマスターソンに聞いてみた。
このTシャツ、どんな意味があるの?
「あ、Tシャツのことね。“I'm the ACE.”を着ているのは、その日先発をするピッチャー。それ以外の4人は、“He's the ACE.”を着るわけ。メディアのみなさんが、誰がエースだか分からないというから、先発陣としては全員がエースの気持ちでいることをTシャツに託したんだ。日替わりでみんながエースになるつもりでね」
なるほど、ユーモアを効かせつつ、先発陣の「意思表明」の意味もあったのか。
こうした投手陣の動きをファレル監督も歓迎していた。
「選手たちがいい意味で競争心を出しているし、あのデザインは団結力も表している。いいグループになってきていると思う」
ドライな選手が多いMLBの中で、レッドソックスは異質。
私がこのTシャツがいいな、と思ったのは、メジャーリーグでは「横のつながり」を見せることがあまりないからだ。遠征先でも大人数で食事に出かけることは少ないし、基本的には練習の時間に合わせてみんなが集まってくるプロの集団だ。
今回の件がレッドソックスらしいな、と思うのは2013年にワールドシリーズを制した時も、多くの選手があごひげをたくわえたり、なんらかの形で「連帯感」を出す風土があることだ。こういうムードになる時のレッドソックスはいい結果を残すことが多いから、ファンは期待していいのではないかと思う。
ボストンのメディアは、
「まだオフィシャルではないものの、開幕投手はバックホルツになる見込み」
と報道している。
レッドソックスの生え抜きの選手ということも考慮されているのだろう。
さて、誰もが認める“He's the ACE.”になるのは誰だろうか?