今日も世界は走っているBACK NUMBER
松野明美、高橋尚子から田中智美へ。
女子マラソン選考問題は終わらない。
text by
金哲彦Tetsuhiko Kin
photograph byKyodo News
posted2015/03/20 10:30
大阪国際で3位に入り、世界陸上の代表に選ばれた重友梨佐。今回の騒動で最も心をいためているのはおそらく彼女本人だろう。
「本大会で活躍が期待できる競技者」とは?
実は、その頃から今回も使われた選考基準である「本大会で活躍が期待できる競技者」という文言は使われている。
そして、重友選手はこの基準に基づいて選考された。
しかし、2004年の高橋選手は、当然「本大会でメダル獲得または入賞が期待される競技者」でありながら、好記録で国内選考レースを優勝した坂本選手と土佐選手も「本大会でメダル獲得または入賞が期待される競技者」であり、優勝した彼女たちを落選させる理由がなく、“ところてん式”で落選となったのだ。
「期待できる競技者」というフレーズはどんな解釈もできる。
そんな曖昧さを残している限り、女子マラソンの選考問題はこれからも解決しないのかもしれない。