「世代交代」などと簡単に口にするけれども、考えてみると随分と重みのある言葉である。と書くわたしも今、奇妙な世代交代の重さを感じて嬉しいやら慌てるやら絶望するやら、複雑な気持ちである。
昨年来、全日本選手権フォーミュラ・ニッポンで井出有治という新しい選手の活躍をお伝えしてきた。実は彼とのつきあいは案外長い。
10年以上も昔、わたしはレーシングカートに熱中して原稿書きも忘れてカートコースを走り込んでいた。その頃、わたしの知り合いが小間使いに連れてきたのが井出だった。当時彼はすでにレースの世界に足を突っ込んではいたが、実力を広く世間に認められたわけではなく、手持ちのお金が尽きれば何も乗れずレースすることができなくなり、しかたなく夜な夜な新宿二丁目の盛り場で、マニアショップのアルバイトをして糊口をしのいでいた。
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