日本サッカー協会(JFA)スタッフが証言する、事務所設立までの苦労と選手たちへの思い。
欧州のクラブに所属する代表選手の数は、2010年南アフリカW杯では4人だったが、'18年ロシアW杯では14人に増えた。
そして今、森保一監督が考える日本代表のラージリストに名を連ねる欧州組の数は、約50人にのぼるという。
欧州各国にそれだけの人数を送り込んでいるのは、日本サッカーが成長した証でもあるが、従来のやり方では対応しきれなくなってきた。
選手のサポートや所属クラブとのコミュニケーションをいかに円滑に行うか――。
1つの解決策が、ドイツに開設されたJFA欧州オフィスである。
'20年秋にオープンした日本サッカーの欧州の拠点は今、1人のスタッフによって切り盛りされている。
津村尚樹、43歳。
差し出された名刺には「JFA欧州オフィス・ダイレクター」とある。
「1人しかいないのでそう、名乗っているんですけどね(苦笑)」
大学卒業後、コンサドーレ札幌を経て'07年6月にJFAへ入局後は一貫して日本代表の総務を担当し、歴代の監督や代表選手をサポートしてきたスペシャリストだ。
「50人近くの所属クラブひとつひとつとやり取りするのは、時差もあって大変ですし、選手と連絡を取るのもそう。外国人監督のときは、監督が欧州に帰国した際に試合を見て回るのに同行していたんですけど、森保さんが監督になってからは欧州に出向く形になったので、ベースがあったほうがいい、ということになったんです」
こうして'19年の年末からプロジェクトが動き出す。定めた場所はデュッセルドルフ。ドイツ西部に位置し、日本企業が多く進出している街だ。
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photograph by JFA