近年は若手の登竜門と位置付けられる全日本選手権だが、今年の女子単を制したのは秋田史帆、30歳9カ月での初優勝は戦後の最年長だった。遅すぎた初Vと言うべきだろう。過去に準優勝2回。四大大会未経験の日本選手では、テクニック、試合をつくる力、精神力ともピカイチの実力者だ。しかし、大会時の世界ランキングは400位。故障も多く、何かが噛み合わないまま節目の年齢を迎えていた。
「負けるんだったら、史帆ちゃんがよかった」。秋田に敗れて準優勝の第1シード、日比野菜緒の口からこんな言葉がこぼれ落ちた。ともに愛知県一宮市出身、同じクラブでジュニア期を過ごした。日比野は「秋田選手みたいになりたい」とあこがれ、秋田も自分を慕う4つ年下の日比野を気にかけた。
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photograph by Hiromasa Mano