濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
朝倉未来“わずか2分39秒の衝撃TKO”はなぜ起きたのか?「予想と真逆の結果」青木真也を沈めた“18発のパウンド”…RIZINで起きた「世代交代」は真実か
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2026/09/11 12:28
青木真也に計18発のパウンドを振り落とす朝倉未来
未来vs青木はRIZIN第1回大会の青木vs桜庭和志と意味が連なる試合だとも榊原は言っていた。11年前の桜庭戦、青木は歴史を作ってきたベテランを食った。そして今回は現代日本格闘技の象徴たる朝倉未来が青木真也を食った。
美しくて残酷な世代交代。時代の節目。そんな試合に見えた。しかし未来は「それを感じるのは見ている側であって」とコメントした。
「俺は“いち強敵”として試合を受けたので」
2人とも格闘技が「生業」ではない
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青木が成し遂げてきたことにリスペクトはある。だがファイターとして考えるべきは今現在の相手の実力と、それをどう乗り越えるかだけだ。ドライと言えばドライ。けれど“未来の勝ち”として見ても“青木の負け”として見ても、感傷の入る隙がないむき出しの現実こそがむしろ清々しかった。
「俺はこれを“生業”にしてないから」
試合前のインタビューでの青木の言葉だ。食っていくため、生活を維持するために格闘技をやっているのではない。プロレスの世界でも活躍しているし、YouTubeやnoteも好調。
そもそも贅沢とは無縁の暮らしをしている。記者会見でも着ているのはTシャツ短パンだし、腕時計は時間を見るだけだからG-SHOCKで十分。スポンサーや関係者に下げたくない頭を下げることもない。自由で自然体で、だからこそ純粋に格闘技にのめり込むことができる。
それは日本で最も有名な格闘家で、BreakingDownの運営をはじめビジネスでも成功している未来とは正反対に思える。RIZINで注目され始めた頃のインタビューでも、稼ぐこと、有名になることを重視していた。
だが考えてみれば、未来はもうずっと前からファイトマネーに頼らなくていい生活ができている。試合で稼ぐ必要はない。何不自由のない暮らしの中で、それでもなぜきつい練習をして、減量をして、負けるリスクのあるリングに向かうのか。数年前、そう聞かれた未来は答えた。
「好きだから、でしょうね」
朝倉未来の“ファイターとしての深み”
青木戦2日前のメディアデーでは「幸せが何か、いまだに分からない」、「普通の人から見ればうらやましいかもしれないけど、自分では一番幸せなのは今ではないですね」と語っていた。
未来は世俗的な成功の代表例に見えて、実は競技への向き合い方の“純度”が高いのではないか。青木はPRIDE、DREAM、ONE、そしてRIZINと戦場を変えながら、常に“生き様”をさらけ出してきた。そんな男と対峙したことで、朝倉未来というファイターがさらに深みを増したように思えるのだ。純粋な勝ち負け、純粋な格闘技としての2分39秒だった。


