前半の5ハロンで1分を切る、この馬場にしてはかなり速いペースで逃げた無敗の牝馬レイパパレを、福永コントレイルは早めに追い上げて標的としたが、直線は泥沼をもがくような走りになって3着に敗退した。矢作師は、「欧米のようなスクラッチ（直前の出走辞退）が認められていたなら、間違いなくそれを決断していたはずです。勝つチャンスがほとんどないシチュエーションでコントレイルを走らせたくはないです。馬のためにも、ファンのためにも」と、呻くように語るのだ。

　プラス16kgの体重に太めを疑う声もあったが、「いいえ、仕上げは万全でした。あの体がコントレイルの理想で、この秋もあの体重で出走させたいと思っています」と、この点では胸を張った。それだけに、あんな極端な天気になったことに恨み節の一つも言いたくなるのはわかる。おまけに、そのあとに予定していた宝塚記念も回避やむなしの決断を下さざるを得なかった。

「筋肉は天性の柔らかさがあるので、道悪でバランスのよくない走りをしたとしても筋肉痛になることはありません。そうは言っても疲れによって歩様に硬さが出ることはあるわけです。想像をはるかに超越してくる馬ではあっても、大丈夫だろうでゴーサインを出すわけにはいきませんからね」

夏も順調「たっぷり乗り込んで非常にいい状態」

　この夏は、通い慣れた鳥取県の大山ヒルズでリラックスした毎日を過ごした。

大山ヒルズでくつろぐコントレイル（2020年9月撮影）　©Keiji Ishikawa

水浴びをするコントレイル（2020年9月撮影）　©Keiji Ishikawa

「すべて順調でした。帰厩直前でも時計的には14-14程度ですが、それで十分。たっぷり乗り込んで非常にいい状態で9月28日に栗東に移動できました。体は明らかに良くなっていますよ。筋肉量が増えて、古馬らしい幅も出てきましたからね。

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［逆襲の三冠馬］コントレイル「牝馬の時代を終わらせる」