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大谷翔平、1年目にして異例の信頼。
首脳陣から「復帰時期は任せた」。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/07/03 10:30
6月8日に故障者リスト入りしてから1カ月弱での復帰となる大谷。どうやら最良のシナリオとなりそうだ。
プホルス、トラウト並みの信頼感。
最後の言葉には驚いた。
メジャーで初めて故障者リストに入ったルーキー選手に復帰への判断を任せると言うのである。これは実績を十分に積んだエースや、主砲へ向ける信頼と同じである。エンゼルスならば、メジャー通算3000安打+600本塁打を誇るアルバート・プホルスか若き主砲マイク・トラウトに向けられてしかるべきものだ。
開幕からの2カ月、チームを牽引した二刀流・大谷への信頼の厚さを物語るエピソードだ。恐れ入る、とはまさにこのことだと思った。
再検査の前日、MLBネットワークのラジオ番組に出演したエプラーGMはこんな言葉を残していた。
「我々の医療スタッフは当初からDHだけなら、既に出場を許していただろう。PRP注射を受けたことは今季再びマウンドで衝撃的な投球を期待するため。この3週間は十分な治癒を得るための時間を買ったようなものだ」
PRP注射後1週間でトス打撃を再開。
日本人で初めてPRP療法を行った斎藤隆(当時ドジャース)と'14年に受けた田中将大の取材をした経験がある。その時の彼らの言葉を覚えている。
「3週間は右腕を動かしちゃいけないんです。ランニングで右腕を振ることさえも許されないんです」
ところが、大谷はまったく違った。注射後1週間目にエンゼルスタジアムを訪れたファンのツイッター映像で左手1本でトス打撃をする姿が映し出された。その際には前後して右手1本でバットを上下動させる動きを見せた。また、2週目には報道陣を前に5、6分程度の力ながら両手で素振りまでして見せた。斎藤や田中の“3週間の右腕絶対安静”の状態とはまったく違ったのである。
投手としての本格練習再開は7月19日の再検査後に判断する、ということになった。
田中将大の復帰はPRP療法から10週間後だった。と言うことは、大谷の場合、8月16日になる。
それまでの間、無事に復帰を果たし、DHとして今まで以上に多く出場する大谷の打撃を楽しみにしていたい。