「10分間ブルペン」でテーマを持って。

　また大家がファームに持ち込んだ『10分間ブルペン』というメジャー流の投球練習も国吉にとってプラスに作用しているという。

「昨年までは結構投げ込んでいたので、最初は違和感ありましたね。10分で投げられる球数は40球前後。マウンドに上がる前から、課題とテーマを持っていないと、あっという間に時間が過ぎてしまうんです。

　今までは漠然とブルペンに入って、何球か投げて調子を見つつ、投球内容を決めていたんですけど、そうではなく1球目から目的を持ち集中しなければいけない。それがシーズンに入ってすごく役に立っているんです。中継ぎは毎日ブルペンに入りますし、自分の状況を把握し、準備しなければいけない。10分ブルペンのおかげで1球目からしっかりと投げることができる」

　10分間ブルペンで培った準備と現状掌握。それは投球面ばかりでなくメンタルにも作用しているように思える。以前の国吉はランナーをためると落ち着きをなくし、フォアボールや被弾を重ね悪循環に陥ることがあったが、そういった脆さは今のところ見せてはいない。

伏し目がちだったかつての国吉ではない。

　6月5日の西武戦では9回からマウンドに上がり、浅村栄斗にこの日2本目となるホームランを食らうも、国吉は動揺することなく落ち着いた様子だった。

「ミーティングで注意されていた高めには投げず、低めの外寄りのボールを打たれてしまった。そういう意味では相手の状態が良かったと割り切れています。試合はつづきますし、次どうすればいいのかが大事」

　そこには、どこか伏し目がちだったかつての国吉の姿はなく、視線は常に前を向いている。6月7日の西武戦では、守備のまずさや自身のワイルドピッチや含め失点を許すも、すぐに切り替え後続をシャットアウトしている。

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