プロ野球列島改造論BACK NUMBER
ベーブ・ルースと比べるより未来を!
大谷翔平に続く二刀流選手に期待。
posted2018/05/24 07:30
text by
ダンカンDankan
photograph by
Getty Images
エンゼルス大谷翔平の活躍に日本のみならず全米も沸いている。
とりわけ注目を集めているのは、投手として2ケタ勝利、打者として2ケタホームランを記録し、ベーブ・ルース以来ピッタリ一世紀ぶりにメジャーで『二刀流』となることができるか? である。ちなみに1918年のベーブ・ルースは13勝、11本塁打の記録を残している。
現在(5月20日時点)大谷の成績は投げては4勝1敗0セーブで防御率3.35、打っては6ホームランで打率.321である。シーズンはまだ4分の1ほどしか消化していないことから考えても充分に達成可能な数字であろう。
しかし記録達成間近ともなれば、アメリカ絶対主義の方々が英雄ルース崇拝で、難癖つけたり、ブーイングしたり、と神聖なるスタジアムはおよそスポーツマンシップとはかけ離れた場所になってしまうかもなぁ……。
となればこっちだって黙っていられるかいな~。「そもそも100年も前なら勝利投手の規定も今とは違うだろうし、ルースの13勝も内容は怪しいもんだぜ! 背番号もやっと付いた時代の野球なんて現在のようなスプリットやツーシームもなく2ケタホーマーなんて楽ちん楽ちん。よって大谷はルースより偉大なり! ガハハ……」と反撃したいところだけど……道具や技術の進化もあるからそれは言いっこなしだ。試合数も全然違うだろうし。
ルースと大谷を比べることにはイマイチ興が乗らず。
そもそも俺は、今回のルース・大谷の話題ではそういう熱が一向に沸騰してこないのだ。
理由は単純明快。メジャーメジャーと大上段に構えてもたかだか150年の歴史。世界初のプロ野球リーグ『全米プロ野球選手協会』(National Association of Professional Base Ball Players)が創設されたのが1871年のことであり、その歴史は我が国の江戸幕府265年(1603年~1867年)と比べても半分少々といったところなのだ(なぜメジャーと江戸幕府を比べるんだ! という意見も当然ありましょうが……)。さらにベーブ・ルース以来1世紀と騒がれても、長生きする人ならば1人分の年数くらいだから、そこに長き歴史という壮大なロマンまでは感じ難いんだよね……。強引すぎるけど江戸幕府のほうが歴史ロマンというなら感じるでしょ?