サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
闘志見えず……7年ぶり日韓戦敗北。
Jリーグに致命的な傷がついた夜。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/12/17 11:30
いつもは感情を露わにするハリルホジッチ監督が、この日は比較的冷静だった。その反応に選手たちは、何を感じただろうか……。
パク・チソンに蹂躙された7年前の悪夢が再び。
思い出されるのは、2010年5月の韓国戦だ。南アフリカW杯前最後の国内でのテストマッチで、岡田武史監督が率いる日本は0-2の敗戦を喫した。韓国の主将パク・チソンにゲームを支配され、局面で勝てず、プレスもハマらず、ほとんど決定機を作れないまま終了のホイッスルを聞いた。
奇しくもこの試合以来7年ぶりとなる敗戦が、味の素スタジアムを舞台とした今回の一戦である。
戦術的な視点に立てば、連動性を作り出せなかったのが大きい。相手のボールを跳ね返してもセカンドボールを支配され、選手同士の距離感が遠いために数的優位へ持ち込めず、1対1の勝負を挑まれて守備を剥がされていく。
ようやくマイボールにしても攻撃のスタートは自陣深くで、韓国は守備ブロックを素早く整えているからタテ方向へ効果的なパスを入れられない。負の連鎖から抜け出せないまま時間は過ぎていき、85分の川又堅碁のヘディングシュートが最初にして最後の決定機だった。
根本的な問題は、戦っていなかったところだ。
より根本的な問題を問えば、日本の選手たちは戦っていなかった。
試合の流れをつかめないまま、点差が広がっていく展開である。チームとしての練度を拠りどころにできないだけに、いつもどおりのプレーでは韓国に押し込まれたままだ。いつもよりもアグレッシブにプレーしなければならない。
目の前の敵に負けないという気持ちを全身から振り絞ることが、劣勢から抜け出す手立てになる。戦術を苦戦の言い訳にしているままでは、監督の指示を待っているままでは、チームメイトに頼っているだけでは、何も変わらない。
サポートを得られなくても、自分で強引に仕掛けていく。警告覚悟でも相手を止める──そんなチーム全体を目覚めさせるような気迫溢れるプレーは、最後まで見られなかった。
経験が少なくてもできるプレーから、年齢に関係なくできるプレーから、全員が眼を背けていたのだ。ゲームが好転するはずもない。自分が流れを変えるという当事者意識の欠如こそが、無抵抗な大敗を招いた。