つねに世代別代表に選出され、最年少でJデビュー、ジェフ生え抜きの21歳はすでに多くの経験を積んでいた。だが、新たに就任したオシム監督と出会うと、選手キャリアも、そして人生も大きく動き出した――。
最初は「悲しい」が来ました。やっぱり、ね。
あの日はちょうど、オシムさんについての話をずっとしていたんですよ。ジェフ時代からお世話になっている指導者の方と、何年かぶりにお会いしまして。その人は、オシムさんと定期的にやりとりをされているそうなので。
その夜に突然、ネットの速報が流れてききた。ニュースで報じられていることだから、本当のことなんだろうな。そう思うしかなった。一晩中、いろいろなことを思い出していました。
オシムさんからは本当にたくさんのことを教わった。ジェフでも。日本代表でも。自分の人生は、オシムさんと出会ったことで変わりました。レアル・マドリーなどからもオファーがあったんですよね。そんな人が、日本に来てくださった。しかも、自分がいたジェフに。それはものすごい幸運なこと。思い出をたどるうちに、そう思えてきた。
もう直接お話しをさせてもらう機会がなくなるのは、本当に悲しいことなんどそれ以上にオシムさんに会えた奇跡をあらためてありがたく感じた。
遠い日本にいらっしゃるというのは、並大抵の決断じゃなかったはずです。あのものすごく大きな背中からは、いつも覚悟のようなものが伝わってきていた。冷たい海風が吹き付ける姉崎公園のグラウンド。汗と湿気の区別がつかないくらい蒸し暑かった東南アジアでのアジアカップ。オシムさんはいつも人生を、命を懸けて指導をされていた。どんなに厳しいことを言われても受け止められたのは、それがあったからだと思います。
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photograph by Naoya Sanuki