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[父&母連続インタビュー]金メダリストの両親は「教育論」を語りません 大橋悠依

2021/10/23
総計40個もの金メダルをもたらし、今年の夏を大いに沸かせた東京オリンピック・パラリンピック。世界の頂点に立った彼らは、どう幼少期を過ごし成長していったのか。4人の選手の両親に訊ねた。

 東京2020で日本競泳女子史上初となる二冠を達成した大橋悠依。成績不振や極度の貧血。様々な困難を支え、見守り続けた父・忍さんは、娘が掴み取った栄冠をどう受け止めているのか。

 東京五輪、実は出場できただけで御の字で、メダルに関しては全く想像していなかったんです。昨年の12月は日本選手権にも出場しなくて4連覇もなくなったので、「どうするのかな」と思っていたし、平井伯昌先生のチームから離れて練習をしていたので、「別のところに行くか?」みたいな話も本人としていました。池江璃花子選手や萩野公介選手が休養したりする中で悠依に期待が集まり、いろいろ考えてしまって大変だったと思います。それに五輪直前も、多くの記者の人から調子が上がっていないと聞いていたので、妻とも「出れるだけで十分だな」と話していました。だから二冠獲得は、本当にびっくりしました。

 悠依は三姉妹の末っ子で、ふたりの姉は悠依と4歳と3歳離れた年子でした。幼稚園に行くようになってからは、いつもふたりについて回って同じことをしたがりました。年子はお下がりを使えないので同じものが2ついるといわれるけど、悠依も同じものを欲しがるので、うちは3つ必要でした(笑)。最初は姉たちについていくのに必死でしたが、気が強くて負けたくないというのが根底にあったから、いろんな面で張り合い、同い年の子供たちより鍛えられていたと思います。

 私たちが驚いたのは、まだスイミングに通い出す前、悠依が幼稚園にいた頃に会社の仲間との旅行の帰り道で、福井県の水晶浜で遊んだ時です。姉たちが初めて海に行ったときは怖がって入りませんでしたが、悠依は平気な顔をして、いきなり浮き輪をつけて海で泳いでいたんです。一緒にいたみんなで「ワーッ」と言って感心しました。

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photograph by JMPA

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