ミハエル・シューマッハーの91勝を破る史上最多勝利――ルイス・ハミルトンの92勝目は、F1初開催のコース、ポルトガルのポルティマオで実現した。
「まるでローラーコースター」とドライバーたちが表現した難コースは起伏に富み、先が見えないブラインドコーナーが多い。目まぐるしく向きを変える強風は空力マシンのグリップ力を奪う。さらに、滑らかな舗装に対して硬すぎるタイヤを適温で作動させるのは至難の業。そんな条件が、マシン性能だけに頼らない“最多勝利の実力”を際立たせた。
スタート直後、かすかな雨に湿った路面では3位までポジションを落としたが、リスクを冒さず、丁寧にタイヤを温めることに集中した。様々な走行ラインを試しながらベストを探求しつつ、先行するバルテリ・ボッタスに絶妙のプレッシャーを与え、相手のタイヤを先に性能低下させたのもチャンピオンの技。同じマシンのチームメイトに25秒もの差をつけた勝因を「とにかくタイヤ温度が鍵だった」と語った。
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