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喪失感をかみしめながら綴る“死と困難の鳥”との生活。~血に飢えて、馴らしにくいオオタカを飼った女性の物語~

2016/12/12

 心の傷を癒す動物の話だ。しかし、センチな動物との交流話ではない。相手は「死と困難の鳥」オオタカ。著者は幼少期から猛禽に夢中だった。鷹匠になりたくてコチョウゲンボウの調教経験もある。関連本も山ほど読んだ。だが、血に飢えて、馴らしにくい、と鷹匠たちがいうオオタカは敬遠した。オオタカを飼う秘訣が「殺す機会をなるべく多く与えること」では自分に合わない、と。ところが彼女はオオタカを飼った。

 彼女の最愛の父が突然亡くなった。在籍する大学の特別研究員期間は終了しかけている。パートナーも子供もいない。家庭も定職もない。狂おしい悲しみと喪失感。ある夜、飛んでいくオオタカの夢を見た。彼女はそのあとについていきたいと思った。繁殖業者を探し、生後10週間の雌を手に入れた。冷凍庫に餌のひよこの死骸を詰め込み、メイベルと名付けたオオタカの飼育・調教の生活が始まった。

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photograph by Sports Graphic Number

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