最近は子供だってずいぶん忙しいのだ。学校だけでなく、塾だ、習い事だと、時間の余白をつくることもままならない。モノも情報もありすぎる検索型の世の中だから、知っていることしか調べないし、未知に対しては臆病になる。
そんなご時世に抗うように、じつにユニークな図鑑がこのほど出版された。それが『親子で学ぶ サッカー世界図鑑』である。出版するスクワッドは、ピンク色のサッカー新聞『エル・ゴラッソ』で知られるサッカーメディア。そんな彼らがつくる書籍の第1弾が子供向けの図鑑という着眼。じつに素敵ではないか。
この本はサッカーを入り口にした世界図鑑である。C・ロナウドの登場をきっかけに、「大西洋の真珠」と呼ばれるマデイラ島の観光産業やポートワインの紹介が続く。写真をふんだんに使った本書の特徴は、地域性を知るという横の拡がりだけでなく、時間という縦の軸をもしっかり掘り返すこと。七つの海を制した大航海時代の話や、バスコ・ダ・ガマの話。植民地だったモザンビーク出身のエウゼビオの英雄性や種子島の南蛮貿易など、サッカーを多方面に繋げる。
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photograph by Wataru Sato