9戦ヨーロッパGPで7位入賞を果たした小林可夢偉のレースは、徹底した守りと思い切った攻撃の両面が際立っていた。現在のザウバーマシンで予選18位からここまで這い上がるのは非常に困難なことであり、彼のレースセンスと勝負運の強さを世界にアピールしたと言える。スペインのバレンシアではW杯報道とともに、母国の英雄アロンソを抜いた日本人カムイが注目を集めた。
前戦カナダGP、ゼロ周クラッシュでのリタイアを彼は猛省した。レース人生でこれほど落ち込んだことがないほどだったという。「やってはいけないことをやってしまった」と、バレンシア入りした小林の表情は硬かった。それまで10位が最高位で、マシントラブルによるリタイアが3戦。信頼性が著しく劣るザウバーで苦しい前半戦が続いていた。
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photograph by Hiroshi Kaneko