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<波乱のグループリーグを総括する> 「南米>欧州」の理由。

2010/07/03
前回王者イタリア、まさかの敗退。主将カンナバーロも涙をこらえきれなかった
48試合のグループリーグを終え、南アフリカでの祭典は思いもよらぬ
展開になった。この波乱の原因は何か。
客観的に大会を見通すことで、今大会のトレンドをつかむ。

 南米勢の好調と欧州勢の不振が目立ったグループリーグ、それにはボールが関係していると思う。

 公式球ジャブラニは蹴った感触が軽いボールで、無回転のシュートが思わぬ変化をすることは知られていた。ところが大会が始まってみると、回転をかけてもあまり落ちなかったり、予測よりも大きく伸びたり、スタジアムが高地にあるのも影響して、とくにロングパスのコントロールが難しかった。

 長距離パスのコントロールが定まらない。その影響は欧州勢により多く出た。

 イングランド、イタリア、ドイツ、フランスなどの国々のプレーは、ショートパスにロングパスをバランスよく織り交ぜていくのが定石だ。ショートパスで引きつけたら大きなサイドチェンジを入れて、相手の守備の薄いところをついていく。しかし、ロングパスでミスが出るのでリズムをつかめなかった。

 その点、南米勢はW杯やコパアメリカの予選でボリビアやエクアドルの高地を経験していて、ボールが飛びすぎるときの対処がわかっている。ショートパスの連続やドリブルで相手のプレスを外すのはもともと上手い。ロングパスを使わなくても攻撃を組み立てられるので影響は少なかった。

 ちなみに、国内リーグでジャブラニを使用していたドイツは比較的ボールへのアジャストができていた。やはりJリーグで慣れていた日本も、デンマーク戦では2本のFKを決めている。

フランスサッカー界に横たわる「ある種の偏り」。

 もちろん、ボールだけが「南米>欧州」の原因ではない。グループリーグで敗退した強豪国にはそれぞれの事情がある。

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photograph by Getty Images

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