ここには黄色い声援もない。ただ強くなるために、宮崎は考え、格闘している。
スペイン・マドリッドから北へ約20km。新興住宅街といった趣きもあるアルコベンダスに、宮崎大輔はいた。市内のスポーツコンプレックスの体育館に辿り着くと、「よくここが判りましたねぇ」と驚きながら宮崎は出迎えてくれた。「オリンピックへ出るために」とトライアウトを受けてまで移籍した、世界最高峰のスペインリーグ。序盤戦を終えての手応えを、尋ねた。
「想像と違ったというより、想像以上のものがありましたね」
――今回海外へ、その中でもスペインを選んだ理由というのは何だったのですか?
「国際試合を通じて、オリンピックに出るには、個々を鍛えなきゃいけないと素直に思うようになったんです。チーム力というのもありますが、まずは個人の力をもっと強くして、チーム力の基となるレベルを上げる必要があると。やっぱり日本リーグだと徐々に、甘えみたいなものが出てきてしまうし、海外に出ないと変えられない部分も見えてきたんです。世界のリーグの中で、レベル的にはスペインとドイツが一番と言われているんですよ。
大学を休学して約2年間留学したときに、2部まででしかプレーできなかったので、1部でやりたいという思いが強く残っていた、という理由もありますね」
――スペインに来てみて、想像していたのと違ったことはありますか?
「想像と違ったというより、想像以上のものがありましたね。プレーの技術レベルが想像以上に高くて、これでシュートが打てる! と思っても、簡単にゴールまでいかせてくれないんです。ポジショニングとか、ディフェンスの寄り方とか、リーチとか、一歩の感覚が全然違うんですよ。だから自分の間合いをしっかりと持っていないといけないですね。
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