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井上尚弥を“ダウン寸前まで追い込んだ”男の証言「気づいたら突然、倒れていて」再戦でまさかの惨敗…ドネアが痛感した“井上の恐ろしさ”
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2023/12/27 17:03
井上尚弥に“2度敗れた”ノニト・ドネア
ドネアは井上にこう語りかけたという。
「キミの実力はだれもが認めている。すごいボクサーだ。このまま4団体を統一してほしい。スーパーバンタム級に上げてもキミならやれる」
プライドをズタズタにされてなお紳士的に振る舞うドネア。29歳の王者はかつてあこがれもした大先輩の言葉をしっかりと受け止め、大きくうなずいた。
「ダウン寸前まで追い込んだ」あの日から再戦まで
井上戦はドネアにとって特別な試合だった。2年7カ月前、圧倒的な不利を予想されながら、伝家の宝刀・左フックで“モンスター”を眼窩底骨折という大ピンチに陥れ、終盤にはダウン寸前に追い込むシーンまで作った。30代後半に入って「峠を越えた」とささやかれた“フィリピンの閃光”は、敗れながらも復活への確かな手応えをあの日、手にしたのだった。
今年3月の再戦決定の記者会見では、次のようなビデオメッセージを寄せていた。
「あの試合が私を生き返らせてくれた。私は戻ってきたんだ。ハングリー精神がよみがえった。モチベーションも上がった。今度こそは井上を倒してみせる」
ドネアは雪辱に燃えた。十分なトレーニングを積み、練りに練った「アメージングなプラン」を携えて試合の2週間以上前に来日。「同じドネアが来ると思ったら間違いだ」。景気のいいコメントをメディアに発する余裕も感じられた。
来日後は3日間の隔離をへて、ジムワークを帝拳ジムで行い、親交の深いスーパーバンタム級世界ランカーの赤穂亮らと2度のスパーリングも行うなど元気な姿を見せていた。ただし、レジェンドに接した関係者からは次々とこんな声が聞こえてきた。