［監督が明かす舞台裏］岩井俊二「奇跡のドキュメンタリーの光と影」

　日韓W杯期間中、日本代表のバックステージでの姿を描いたドキュメンタリー作品を作りたい――。

　このプロジェクトを熱望したのはフィリップ・トルシエさんだったそうです。1998年大会では、フランス代表に密着した作品があった。その日本版を作りたい、と。

　大会前に知り合いのプロデューサーから監督のオファーをいただいた時も、編集を始めてからも、僕はこの作品が本当に発売されるとは思っていませんでした。映像の使用許可が出るとは到底信じられなかったからです。でも、監督の仕事を引き受ければ、普段絶対に目にできない映像を見ることができる。W杯の日本戦のチケットももらえる。ならば、サッカーファンとして断る理由はないですよね（笑）。