女性に興味を持つ選手に……。

「自信と不安が入りまじった状態だから、人間、打てるんだ」（19号）
　日本ハム、ヤクルトなどで活躍した大杉勝男が1967年頃に、感銘を受けたという野村の言葉。「意味深い言葉で、野村さんらしい言葉だと覚えています」。この3年後、大杉は野村とのデッドヒートを制し、自身初のホームラン王に輝いた。

「女性に対しての興味を持つ選手に、いい選手に成長していくやつが多い」（318号）
　英雄、色を好む。野村理論では、女好きの選手ほどプロ野球界では成功する。そのココロは「この女性を口説くにはどうしたらいいのか、どうすれば相手がこちらを見てくれるのか、知恵を絞ることになる。それは頭を使う訓練という意味でも、非常に重要なことではないだろうか」。

捕手はヒーローになっちゃいけない。

「捕手は現役時代から一球、一球サインを出して試合を作る経験をしているから、『演出家』の経験を積んでる」（782号）
『もしドラ』著者・岩崎夏海氏との対談で、名監督にはキャッチャー出身者が多い理由について語った。「（“演出家”としての経験が）蓄積した大きな違いになりますから」。

「捕手はヒーローになっちゃいけない」（724号）
　楽天監督時代の2009年、目前に迫ったWBCを展望し、短期決戦で必要となるキャッチャー像を語った。「受けている投手のいいところを引き出してやろうという、縁の下の力持ちに徹することができるような性格じゃないと。うちの岩隈（久志）も本来、真っ直ぐで勝負するタイプじゃないから、彼をうまく導いてくれるような捕手じゃないと心配だな」。

　野球経験者にはもちろん、野球をやったことがない人にとっても、野村さんの言葉には人生に役立つヒントが詰まっているように思います。どうかキャンプ中のミーティングに参加しているつもりで、本誌の「名言大辞典」をお楽しみいただければ幸いです。