10/29特別増刊
巻頭特集

記事を
ブックマークする

「まだまだっす」佐藤輝明がタイガース黄金期の“象徴”になるまで…4番の責任感が垣間見えるワードとは?《番記者が追いかけた6年間》

2026/10/16
4球団競合の末、虎が引き当てた大型スラッガー。入団前から追いかけてきた記者だからこそ知る、口下手で謎多き男の内面をひもとく。(原題:[番記者が見たサトテル]昨日の自分と闘い続けた6年間)

 大学ナンバーワンスラッガーがゆっくりと打席に向かう光景を思い出す。佐藤輝明という野球選手を初めて取材したのは2020年11月1日、ドラフト会議後に奈良県にある近畿大学生駒総合グラウンドで行われた練習試合だった。試合後の囲み取材時のメモをあらためて見てみると「口下手」「マイペース?」「スケール大」と書いていた。

 それから6シーズンの間、佐藤を追い続けてきた。口数は相変わらずで決して多くを語るタイプではない。「そうっすね……」。独特の間があり、ゆっくりと言葉を紡ぎ始める。質問の意味を理解し、頭の中で言語化して端的に口にするから、口下手に見える。ただ、口数は少ないが必ずと言っていいほど、返事はくれる。

 今年7月18日の広島戦(マツダ)。ハーンが投じた直球が懐をかすめた。ハーンをにらみつけ、打席で怒りを表現した。これまでも、打てなかった悔しさや自身への憤りをグラウンドで出したことはあった。でも、相手に対する怒りの感情は見たことがなかった。前日17日の同じく広島戦で後輩の前川右京が死球を受け、右肩甲骨を骨折していた。試合後のぶら下がり取材では前川の件も含めて質問をぶつけた。うなずきこそするが、コメントは残さなかった。取材をしていて、無言だったことはこれが初めてだった。

 あの広島戦の後こそ口を開かなかったものの、日々の取材に対して非協力的なわけではない。特にこの2年間は自身のことではなくチームのことを語るようになった。「ある程度結果を残すことができたからこそ、気持ちの余裕も出てきてチーム全体を俯瞰して見られるんです」と自己分析するように、頻繁に出てくるようになったのが“チームのために”“チームのおかげで”“チーム一丸で”というワードだ。少ない口数の中に阪神の顔、中心選手として、言動に責任が垣間見えるようになった。

特製トートバッグ付き!

「雑誌+年額プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています

photograph by SANKEI SHIMBUN

0

0

0

関連
記事