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[岡崎慎司の目]日本代表が手にした堅守という新しい顔 vs.スペイン 12.1

2022/12/09

 2010年南アフリカ大会。

 僕にとって初めてのワールドカップの記憶は、うっすらとしか残っていない。ただただ無我夢中だったということだけだ。

 あれから12年が過ぎ、迎えた'22年大会。日本は4度目のグループステージ突破を果たした。ドイツ、スペインというワールドカップ優勝経験国を破っての1位突破。このチームには12年前の僕らとは違うタフさがあると感じている。

 第2戦のコスタリカ戦の敗戦で、日本は自分たちの強みを再確認したに違いない。それは堅い守備だ。そこから、シンプルに攻撃を仕掛けていく。そもそも、ドイツ戦とスペイン戦では、同じようなゲームプランで試合に臨む想定だっただろうが、コスタリカ戦を経て、腹をくくるような覚悟が生まれたはずだ。

 日本は3-4-2-1のシステムでスペインに挑んだ。実質5バックのような構成で、サイドの長友佑都や伊東純也がワイドに張り、陣形の重心は後ろ気味で、絶対にスペインに裏は取らせないという守備だった。

 11分に失点してしまうが、「脅威にさらされる」という怖いシーンをスペインに作られることはなかった。

 1トップの前田大然は幾度となく、スペイン守備陣へプレスをかける。単騎であってもFWがプレスへ行くことで、相手がどう出てくるのかを確認できる。そんな様子見の時間を重ね、日本はスペインに慣れていく。前田にしてみれば、周囲の選手が加勢してくれたほうがやりやすいが、無理に連動することをこの日の日本は選択していなかった。結果、DF陣は心身のスタミナを温存できただろう。前半、圧倒的にボールを保持されたが日本は落ち着いた守備でゴールを守った。

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photograph by Kenichi Arai

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