再び強いドイツが帰ってきた。
ヨアヒム・レーブ監督のもとで2014年W杯を制したものの、'18年W杯はメキシコと韓国に敗れてグループステージ敗退という屈辱を味わった。ベスト8以上に進めなかったのは戦後初だった。
ユーロ2020でも不用意なミスが目立ち、決勝トーナメント1回戦でイングランドに完敗。15年間に渡るレーブ政権の勤続疲労は明らかだった。だが昨年8月、ハンジ・フリックが新監督に就くと、淀んだ空気は瞬く間に吹き飛ばされた。
フリックは'06年からレーブの右腕としてドイツ代表のコーチを務め、'14年W杯優勝に貢献。'19-'20シーズンの途中にバイエルン・ミュンヘンの監督に就任すると、ブンデスリーガ・ドイツ杯・チャンピオンズリーグの3冠を達成した。攻撃的なサッカーを志向しつつ、激しい守備にも力を入れる。レーブがスタイルに執着する「ロマンチスト」なのに対し、フリックは結果にこだわる「リアリスト」だ。
ノイアーやキミッヒら「バイエルン・ブロック」を生かしつつ、若手抜擢によって新たな競争が生まれ、新体制になってからまだ1度も負けていない。ドイツきっての「タイトルコレクター」はカタールW杯にどう臨むのか。フリックとコーチ陣が大会に向けた準備でハンブルクのホテルに滞在した際、話を聞いた。
――あなたが監督に就任して以来、ドイツ代表は8勝1分と絶好調です。レーブ政権から何を変えたのでしょう。
「'06年から'14年までヨッギ(レーブ)のアシスタントコーチだったので、彼の攻撃的なプレー哲学は熟知しているつもりだ。それを継続しつつ、システムの“ニュアンス”を微調整することに取り組んだ。守備では高い位置から積極的にプレスをかけ、ボールを失ったらすぐ相手に襲いかかる。攻撃ではコンビネーションで相手を圧倒し、センターバックが勇気を持って自ゴールから35、40mの位置を取る。以前よりフレキシブルに戦えるようになった」
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