あるナイトゲームの翌朝のこと。デーゲームを控え全体練習がないはずのグラウンドに、小さな音が響いていた。たった一人で体を動かしているのはジョーイ・ボット。リーグMVP1回、オールスター出場6回、シーズン本塁打20本以上を9回も記録し、長年レッズを牽引してきた強打者だ。
現在38歳の彼は、188cm、100kgとイチローとは似ても似つかない体型だが、ルーティンは驚くほどそっくりだ。
「イチローを初めて見た時から、彼と同じような動きを自分のルーティンに取り入れている。見た瞬間に真似しようと思ったんだ」
イチローを初めて見たのは、彼がマーリンズに移籍した'15年。シンシナティでの試合前に、ボットはストレッチをするイチローのもとへ走り、会話のチャンスを掴んだ。
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photograph by Yukihito Taguchi
