世界女王へと駆け上がった21人の大和撫子。なでしこジャパンは
全員がヒロインだった。彼女たちの姿と言葉を永く記憶に留めたい。
Number784号では、なでしこジャパン全21人を特集。
ウェブでは、宮間あや選手の記事を特別に公開します。
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喜びと困惑の間で揺れる表情をのぞかせて、宮間あやは切り出した。左右両足から繰り出すキックは世界最高クラスの精度を誇り、守備でもハードワークする26歳のMFの胸中で、充実感と飢餓感が綱引きをしている。
「W杯優勝というのは、すごく誇らしい結果だと思う。でも、ドイツとアメリカに90分で勝ちきれなかった悔しさが残るんです。攻められても、攻められても、頑張って耐えて、それで勝てたのはホントに良かったんですけど、本物の世界一として他の国が認めているかと言ったら、そうではないと思うので」
唇の端に浮かぶ笑みは拡がらず、控え目にとどまっている。口調がわずかに硬くなった。
「世界のトップ相手にしっかり勝ち切るまでの力は、まだちょっとないですね。接戦が悪いとか言うつもりは全然なくて、どこの国からも、誰が見ても、日本は世界一強いチームだって思われるようになりたいんです」
W杯前の米国戦で「やれないことはないな」という手応えが。
優勝に必然性を見出すことはできる。
アメリカには過去3分け21敗と一度も勝っておらず、宮間自身が出場した試合も8戦全敗だった。だが、W杯前の3月と5月に3度行なわれたテストマッチで、「やれないことはないな」という感覚を得ていたのである。
「それも、3月のゲームより5月の2試合のほうが良かった。あとはやっぱり、前半をゼロで抑えたのが大きかった。何度みんなで『危ねえっ』って言ったことか。攻撃の圧力はすごかったですから。決勝戦の前半は、大会を通して一番難しい時間帯でした」
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photograph by Mami Yamada