瞬く間に古豪を躍進させ、欧州中に衝撃を与えた。
“次世代の象徴”と評される若き指揮官の実像とは。
欧州大陸の西の端に、いまサッカー界で最も注目される若き指揮官がいる。
アンドレ・ビラスボアスは、わずか1年前まではあまり知られた存在ではなかった。
かつての名選手だったわけでも、輝かしい監督歴があるわけでもない。クラブの監督に就任したのも、2年前のポルトガルリーグ、アカデミカが初めてのこと。昨夏、この青年が強豪ポルトの監督に就任したときには、国内でも驚きの声があがったほどだ。
しかしそれから1年が経ち、もはや世界のサッカー界にその名を知らぬ者はいない。
ポルトをリーグ優勝に導き、ヨーロッパリーグも制覇。1年目で4タイトルを手にした彼の元には、欧州中のビッグクラブから次々とオファーが寄せられている。
台頭しつつある新世代監督の象徴でもあるビラスボアス。物静かで、どこかミステリアスなこの33歳はどんな人物なのか。
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ビラスボアスが歩んできた経歴を振り返ると、彼に大きな影響を与えたふたりの人物が浮かび上がってくる。
一人目はポルト、チェルシー、インテルで6年を共にしたモウリーニョだ。ビラスボアスは彼の下で対戦相手のスカウティングと戦術分析を担当する。
出会いは17年前、モウリーニョがポルトでボビー・ロブソン監督のアシスタントをしていた頃のこと。だがビラスボアスが本格的に彼と仕事を始めたのは、モウリーニョが監督としてポルトに戻ってからのことだ。
モウリーニョはビラスボアスについてこう語っている。
「ビラスボアスは私の目であり耳だ。彼は私のサッカーを完璧に理解している。私が何かを考える前に、もうすでに察知しているくらいだ」
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